3. ロコモ / 体の使い方を学べない子どもたち 1. 子どもロコモについて 2. 子どもロコモについて / 各論

3. ロコモ / 体の使い方を学べない子どもたち 

・2010.05.14

ネット環境が整った時代に生まれ、スマホやタブレットなどのデジタルデバイスの進化とともに成長してきた現代の子どもたち。親世代の子ども時代とは、社会環境や生活の仕方が変化した今、子どもたちの心身には新たな問題が起きています。今回は、子どもたちのロコモ予防対策に取り組む林整形外科院長の林承弘先生に話を聞いています。(KIZNAキズナ / 子育て情報メディア)

https://kidsna.com/magazine/entertainment-report-20051201-11049

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1. 子どもロコモについて

・2016/06/15

SLOC副理事長 林 承弘

近年、子どもたちの運動のやり過ぎによるスポーツ障害と、食べ過ぎによる肥満など生活習慣の乱れから来る運動不足の2極化が問題になっています。

こうした子どもの食事や運動など生活の基本は本来、家庭や学校で築かれる筈です。しかし食事面では、核家族化が進み、両親が共働きとなり3食をしっかり食べるという習慣が薄まってきています。また運動面では、ゲームの普及と外遊び場が少なくなったことなどにより、子どもが外で遊ばなくなり、運動不足の子どもが増えています。

一方栄養過多・運動不足で太る子だけでなく、低栄養・痩せ過ぎも問題です。メタボに対する誤解もあり痩せることが良いことだとして、骨量を蓄えなければならない小学生高学年にまでダイエットが入りこむようになってきました。こうした状況下危惧されるのは、生活習慣が改善されないまま大人になり、内臓疾患であるメタボや運動器疾患である骨粗鬆症等ロコモの予備群を増やしてしまうことです。

驚くことに子どもたちの運動器の現状は、片脚でしっかり立つ、手を真っすぐ挙げる、しゃがみ込む、背骨を前屈するなどの基本動作のできていない子が急増しています。そして物を投げる動作ができない、自身の倒立はおろか倒立する子を支えられない、廊下の雑巾がけの際に手で支えられず前歯を折ってしまうなど、少し前の時代には考えられなかったことが起こってきています。

埼玉県ではこうした状況下、6年間にわたりモデル事業として就学時および小学校5年さらに中学生に運動器検診をおこなってきました。

特に基本動作である、①片脚立ち左右5秒間ずつ ②肩を180度挙上 ③しゃがみ込み④体前屈についてチェックし、バランス(①)および身体のかたさ(②~④)について調べました。このうち一つでもできないものを不可とすると、約4割の子どもが何らかの運動器機能不全を有していることになり、運動器機能調整力不足の状態にあるといえます。平成24年度からの中学校武道必修化によるケガの多発が心配されます。また食育でバランスの良い朝食がきちんと摂れている子どもは、3~4割に限られており、これらは近年の子どもたちの食事、運動など生活習慣の劣化からくるもの考えられます。

こうした生活習慣の改善指導等、公教育の重要な柱の一つである学校健診が果たす役割は大変大きいと考えられます。子どもへのしっかりした運動指導・食事指導などのロコモ対策はメタボの予防にもつながると期待されます。

 

2. 子どもロコモについて / 各 論

・2020/03/29

SLOC副理事長 二階堂 元重

 

これらは全て今の子どもたちの実態である。我々は明確な基礎疾患のない子どもの運動器機能異常を「子どもロコモ」と呼んでいる。

学校内、通学中に受傷、保護者が記入し提出する「罹患調査」から学校で把握できた骨折について集計した結果である。 この40年で3倍に増加しており、その伸び率は特に中学生において顕著である。

・子どもロコモチェックポイント5項目

 

埼玉県運動器検診によれば、上記4項目中1つでも当てはまる児童生徒が、全学年中40%超となっている。

乳幼児のバランス力の目安を示す図をみるとおわかりのように、幼児の「動的バランス力」は2歳までには確立する。

しかしながら、片脚立ち(静的バランス力)できるようになるのはその後3歳を過ぎてからで、6歳でようやく5秒の片脚立ちが可能となるのである。

▶︎未熟なバランス力

成長とともに未熟だった静的バランス力が確立し、片脚立ちができるようになるが、逆に高学年になるにつれ柔軟性が低下し、しゃがみ込みや体前屈が困難になる。Osgood、ジャンパー膝、Sever、Sinsplintなど筋腱付着部炎が目立つようになる。

1. 運動習慣の変化 

▶︎柔軟性の低下

・運動不足 / 運動過多の二極化

2018年長野県坂城町運動器検診(小5・中2)において、スポーツ活動別身体状況調査結果をみると、スポーツ活動の程度両極で「しゃがみ込み」と「体前屈」ができていないことがわかる。

成長期の運動不足あるいは激しい後両極で筋腱は固縮し、結果からだの柔軟性が低下していると考えられる。

成長期特に小学校高学年ならびに中学生には運動前後、からだ全体を使った入念なストレッチstatic stretchが必要となる。

 

 

 

2.生活習慣の変化

 

・車社会で外遊びをしない ➡︎ 小さなケガもしない ➡︎ 手がうまく出せない ➡︎かえって大きなケガをする

▶︎危険回避能力の低下

・ゲーム障害

▶︎姿勢不良

▶︎未熟な空間認知機能

*空間認知機能:位置形状など物体がおかれている状況をすばやく正確に把握認識する能力 / 狙った場所にボールを当てる・飛んでくるボールを掴む・2次元地図の構造を把握する。

・生活の便利化・簡素化

 字を書かない / 正しいペン、箸の持ち方を教わらない / ドアノブがレバーに / 蛇口は手をかざすだけで水が出る / 靴ひもを結ばない

「大人のロコモ」同様、小児整形外科を代表する運動器疾患ベース群②と基礎疾患のない、運動生活習慣をベースとした運動器機能異常群①に分けて考えるとわかりやすい。

すなわち②群は乳幼児健診、学校運動器検診、さらには整形外科受診を通じて早期診断早期治療に努め、①群に対しては運動、食事を含めた生活習慣の改善を目的に、成長期とりわけ小学校高学年、中学生中心にstatic stretching指導、さらには全学年に対し姿勢教育に努めたいと考える。

*DCD 協調性発達障害 Developmental Coordination Disorder

 全小学生の06~10% /  LD 学習障害の50% / 50~70%は大人になっても障害残存するといわれている。運動器疾患との見極めは難しく、小児神経科との連携が必要となる。

・浮き指

通常3点荷重で、重心は身体の中心を通るが、浮き指により2点荷重になると重心は踵寄りとなり、姿勢不良(ねこ背)の原因にもなる。

 

・タオルギャザー

1)足裏の足部内在筋のみならず、TP・TA・長趾屈筋・長母趾屈筋も強化               2)内側縦アーチを強くする。扁平足の改善:接地した際アーチが適度につぶれるようにたわみ、力を受け止めるクッションの役割を果たし、続くtoe off時、地面を蹴る力として、反発する戻りのが働く      3)立位静的バランス力の改善:開眼・閉眼片脚立位保持時間がともに改善              4)指を使えるようにする

・足指ジャンケン

 

・子どもロコモ体操 / キーワードは「肩甲骨・股関節・足指」

 

体育授業の冒頭、特に上記4つの項目(学校運動器検診のチェック項目)について実施。できない子にはできるようになるまで集団指導を行う。4回目までにできない子は個別指導を行った。

子どもロコモ集団指導後3度目の検診で、どの動作でも大幅に改善しており、さらに個別指導後4回目の最終検診では著明な改善をみた。

・肩甲骨と股関節

・肩甲骨 / 股関節 / 足指

・姿勢教育

 

 

ー「健康な体作りのための子ども処方箋」のご利用についてー

林整形外科  林 承弘

・2016/06/15

平成28年4月から学校健診に運動器検診が導入されることとなりましたが、特に体がかたい・バランスが悪い、いわゆる運動器機能不全の児童生徒が2~4割、チェックされる可能性があります。
こうした子どもに対して、すぐに専門医療機関に受診を勧める必要はありません。ただし、どう対処したらよいか迷っている養護教諭・体育教諭・校医さらには受診を受けいれる医療機関(整形外科医)は少なくないと思われます。
この子ども処方箋を有効活用して頂ければ、姿勢チェック及び簡単なストレッチ体操で70~80%の子どもたちが、比較的容易に改善します。問題はそれを維持することです。要は、良い姿勢と運動習慣をしっかり身に着けることに尽きます。先ずは家庭で、親子でチェックし体操することをお奨めします。また体育の授業の準備体操として、取り入れるのも良いでしょう。この処方箋が、子どもを見守る家庭、学校、校医そして専門医等すべての関係者のお役に立てれば幸いです。

*A4×4枚綴り、パンフレット仕様の永久保存版PPTです。
ご自由にお使いください。

「子ども処方箋」はこちら

「SLOC版子どもロコモ対策マニュアルムービー」はこちら

更新日20210/05/14