「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」をストップ NPO法人 全国ストップ・ザ・ロコモ協議会 SLOC(エスロック)

実施概要

実施概要

・2014/11

厚労省健康局スマートライフプロジェクト「第5回健康寿命をのばそう!アワード(生活習慣病予防分野)」応募エントリーシートより。

1 概要

自治体、医師会、学校と連携の上、広く住民にロコモ啓発・予防、実践を行っている。

(1)主旨

超高齢社会の進行の中で、ロコモティブシンドローム(以下ロコモ」)が急増。エスロック全国ストップ・ザ・ロコモ協議会(以下「SLOC」)は、ロコモの普及啓発活動を行い、行動変容を促すことで、要支援・要介護さらには寝たきりの状態になることを防止または遅らせ、もって健康寿命の延伸を図ることとしている。

(2)実施内容の概要

ア ロコモ認知度向上

(ア)一般住民:「全国市民公開講座(ロコモキャラバン)」開催NHKエデュケーショナルと共催。これまで6都市(大阪市・札幌市・福岡市・浜松市・八戸市・佐賀市)で開催。

(イ)行政:全国の自治体・教育委員会を対象にロコモや子どもロコモに関するアンケート調査を実施し、地域の実態把握および医学的情報を収集。結果も含め、ロコモ関連情報についてウェブサイト、メールマガジンを通じ定期的に配信。

(ウ)ウェブ:ホームページの管理・運営一般市民から整形外科専門医まで幅広い層を対象にウェブサイト上でロコモの医学的知識と臨床経験に基づいた広報・普及・啓発活動を実施。

(エ)講師派遣:自治体や医師会等からの依頼に応じ、SLOCから講師派遣。

イ 介護保険法に基づく介護予防事業の指導者の養成

住民や自治体職員に、啓発や実際の指導を行う「ロコモコーディネーター」の養成に取り組んでいる。そのための資格取得研修会を2016年12月現在6都市(浜松市・宮崎市・三島市・さいたま市・大阪市・東京)で開催。

*ロコモコーディネーター:地域サロンなどで開催するロコモ予防教室に参加する介護予防対象者に直接ロコモ予防体操(ロコトレ)を指導するボランティアの養成、教育に関わる医療・介護系有資格者。自治体との間に立って実務を調整するなどの役割を担う。

ウ 「子どもロコモ」の予防

(ア)実態調査

近年子どもたちの運動、食事など生活習慣の劣化が原因で引き起こされる「運動器機能不全(子どもロコモ)」の実態について学校医・養護教諭・保護者と連携の上調査、報告。

(イ)スクリーニング

子どもロコモのスクリーニング体系について検討し、今年度から全国小中学校で始まった「学校保健における運動器検診」に対応。

(ウ)子どもロコモ啓発事業

「子どもロコモ」をテーマにした講演会や市民公開講座の開催。併せて、解説スライド、対策マニュアルムービーをSLOCウェブサイトに掲載し、自由にダウンロードの上使用してもらえるようにしている。

2 目的・背景

(1)取組み・事業の実施目的

ア ロコモティブシンドロームは、運動器の障害のために移動能力の低下をきたした状態。放っておくと要支援・要介護さらには寝たきりに陥る危険性のある状態。SLOCおよび我々整形外科医は、「転ばない、転んでも折れにくい、折れてもまた歩ける体をつくる」をスローガンに、ロコモ対策に参加する住民を増やすこととし、まずは広く住民に対しロコモの啓発を行い、さらにロコモのトレーニング(以下「ロコトレ」)等の実践を伴う行動変容にまで繋げる。

イ これらの一連の活動・働きかけにより、日本の健康寿命を延伸させるとともに、ひいては医療と介護の社会的コストの増大の抑制をも目指す。

ウ その活動の母体として、「ストップ・ザ・ロコモ」を旗印に、日本臨床整形外科学会JCOA(全国整形外科医で構成される一般社団法人 会員約6,000名 理事長田辺秀樹)会員有志が起点となって、NPO法人「SLOC全国ストップ・ザ・ロコモ協議会 (理事長藤野圭司)」を設立。2013年1月には東京都の認可を得て正式に発足。

(2)取組み・事業を始めたきっかけ

ア 超高齢社会の進行の中で、要支援者が全国に170万人、毎年10万人ずつ増加。その原因として転倒、骨折、関節疾患など運動器に起因するものが36%と第1位を占める。

イ 腰への負担が軽く、安定性も高く、家庭でも簡単にでき、かつ3つの目的「転ばない・転んでも折れにくい・折れてもまた歩ける」体をつくるため、日本整形外科学会は「片脚立ち」と「スクワット」の2種類の運動を推奨し、これらを総称して「ロコトレ」と呼んでいる(後述)。特に「片脚立ち」は「ダイナミックフラミンゴ療法(DF療法)」の考え方に基づくトレーニング法で、わずか1分間の片脚立ちが、実に約53分の歩行に相当するとされる。阪本らによれば、骨盤周囲の筋力増強、バランス能力の向上効果だけでなく大腿骨近位部の骨密度をも改善させるという。

3 方法

(1)啓発

・全国市民公開講座開催

「ロコモと認知症」・「ロコモと骨粗鬆症」・「子どもロコモ」をテーマに、各分野に精通した医師を招いて講演を実施。さらに、会場内で実際にロコトレ実施のほか、VTRでの具体的事例を紹介。

(2)実践−1

・ロコモ度テスト

ロコトレを行うにしても、まずは個々の住民の運動機能を評価し、その対象になるかどうかを判断する必要がある。そこで平成27年5月、日本整形外科学会はロコモ度(移動機能低下の度合)を判定するための新たな基準となる値を公表。

(3)実践−2

・ロコトレ

「片脚立ち」は1分間の「開眼片脚起立」を左右で1日3回行う訓練。骨盤周囲の筋力増強、バランス能力の向上効果だけでなく大腿骨近位部の骨密度をも改善させるという。「スクワット」は体幹、下肢の筋力を強化するための訓練で、上半身を前傾させながらゆっくり座る。深呼吸するペースで5~6回、1日3回行う。

(4)指導者養成

・ロコモコーディネーター

年2回全国各地で資格取得研修会を実施。毎回6名の講師による研修講演ののち修了試験を実施。

4 意義・成果

(1)効果の科学的実証−1

要支援1~要介護1の運動器不安定症の患者を対象にロコトレ(片脚立ち・スクワット・セラバンド体操)を実施しその成果について追跡調査を行った。介護度が上がるにつれ、ロコトレが有用であるという結果を得ている。
(藤野整形外科医院)

(2)効果の科学的実証−2

石橋らは、60歳以上の男女30名に週2回計4週のロコトレを行い、その結果、足趾把持力、片脚立ち時間の有意な改善ならびに外出に対する自己効力感が増加したと報告。

(3)ロコトレによる費用対効果

年間20万人の新規大腿骨頚部骨折患者のうち、自立者からの発生が40%8万人。このうちの40%を事前ロコトレ実施により骨折を未然に防ぐことができれば、その効果は年間1,500億円と試算。

(4)医療介護費用節減効果

超高齢社会においてロコモは、医療、介護の社会的コストを加速度的に増大させるものと思われる。そのためにも、ロコモ対策(予防、早期発見・早期治療、ロコモ度テスト及びロコトレの実践)により要支援への移行の阻止をめざす。こうした一連のロコモ対策による医療介護費削減効果を年間約5,000億円と試算。

(5)一般への普及啓発

ア ロコモ認知度(「運動器の10年日本協会」調べ)

・2012年 17.3%

・2013年 26.6%

・2014年 36.1%(理解度15.0%)

・2015年 44.4%(理解度18.3%)

・2016年 47.3%(理解度19.9%)

認知度は年々上昇傾向であるが、理解度は認知度の半分以下という結果。

イ 別途、SLOCは2014年5月に、会員の診療所24施設を訪れた患者ならびに家族4,563名に対し同様の直接聞き取り調査を行っているが、認知度36.3%・理解度14.9%とほぼ一致した結果。

(6)実施主体・自治体への普及啓発

ア SLOCは全国自治体・教育委員会に対してアンケート調査を実施。2014年5月「ロコモ」に関する意識調査と同時にSLOC活動内容の紹介も併せて調査票を郵送。

イ 自治体、教育委員会ともに半数近くの高い回収率。

ウ 「ロコモを聞いたことがあるか。」という問いに「県」は100%「はい」の回答。

(7)その他の普及啓発

全国市民公開講座として2015年10月04日八戸市で開催されたロコモキャラバンの入場者710名で過去最多。

(8)指導者の養成

2016年12月現在、ロコモコーディネーター総数は914名、うち43%が理学療法士。浜松市高齢福祉課では地域サロンなどでの「ロコモ予防教室」参加者5,000人、直接ロコトレ指導にあたるボランティア500人に対し、浜松市内のロコモコーディネーター100名を充て、既に活動を開始。

(9)各施策の予算規模事業計画書

・平成28年度全事業費予算 2,751万円

ア ロコモに関する普及広報事業 1,830万円
ロコモキャラバン(2回) ホームページの管理・運営  ロコモ講演会等への講師派遣ほか

イ ロコモに関する教育研修事業 600万円
ロコモコーディネーター資格取得研修会(2回)

ウ ロコモに関する情報の収集及び出版等情報提供事業 50万円
全国規模アンケート調査

エ 国内外のロコモに関連する団体との連絡提携及び調整 20万円

オ ロコモ関連用品の販売 5万円

カ その他

5 今後

(1)普及啓発

日本整形外科学会JCOAはSLOCの母体であり、協力機関である。全国6,000人の会員の全面的協力を得て、これまで以上に47都道府県くまなくロコモの普及啓発に取り組み、2023年までに国民認知度80%という数値目標を達成したい。

(2)実践

今後ますます増え続ける要支援対象者への対応として、SLOCは最終的に全国1万人のロコモコーディネーター養成を計画(平成28年12月現在914名)。

(3)認知度向上

SLOCが対象とすべき適切なロコモ推計人口は、星地らによれば750万人。これは40歳以上ロコモ度2の推計とほぼ一致。この層への働きかけが今後国民周知の鍵となる。骨粗鬆症未治療群900万人の1年以内の再骨折は5人に1人。椎体骨折の個数は死亡率と相関するという報告もあり。また認知症予備群(MCI)400万人の骨折率は健常高齢者の5倍と言われている。今後は「健康寿命の延伸」に向かって「ロコモ」に加えて「骨粗しょう症」「認知症」「子どもロコモ」の4つの「予備群」に対する啓発・予防を一連とし、全年齢層にわたる「行動変容」の実践を引き続き呼びかけてゆきたい。

6 報道歴

1.TV報道歴

(1)2013/06/01 18:00~18:30 BS朝日

鳥越俊太郎 医療の現場!

「進行する骨、筋肉、関節の衰え~お手軽 ロコモ対策~」

(2)2013/06/24 14:00~15:00 NHK Eテレ

NHK市民公開講座

骨折の連鎖を防ごう~ロコモティブシンドロームと骨粗鬆症~

(3)2014/04/22  19:30~19:56 NHK総合

「クローズアップ現代/子どもとロコモ特集」

子供の体に異変~若年層に広がるロコモティブ・シンドローム

(4)2014/07/20 08:00~08:15 BS日テレ

おはよう日曜診療所「ロコモってなに?予防と対策」日本医師会

(5)2015/04/03 08:25~09:20 NHK総合

「あさイチ」特集 子どもロコモ

(6)2015/06/03 09:10~09:25 フジテレビ

「とくダネ!」ー姿勢と子どもロコモー

(7)2015/12/12 11:00~12:00 BS TBS

「土曜ニュースまるわかり」ロコモティブシンドロームについて

(8)2016/05/17 17:00 TOKYO MX News

「熊本地震ーエコノミークラス症候群についてー」

2.新聞雑誌報道歴

(1)2015/09/19 毎日新聞社出版月刊雑誌「Newsがわかる」10月号

「注意!子どものロコモ」

(2)2016/07/12 静岡新聞夕刊

「ロコモ予防 介護、寝たきりの危険」

7 その他のアピール

(1)超高齢社会を迎え、今後毎年10万人づつ増加するといわれる「要支援」に至る要因の第1位は「運動器関連疾患」。つまり、健康寿命という観点からは、運動器疾患対策がますます重要。このために運動器の専門家である我々整形外科医に課せられた使命は「転ばない・転んでも折れにくい・折れてもまた歩ける」体づくりに努め、「要支援」移行を阻止すること。

(2)「ロコトレ」は、この3つの目的を達成するための、特別な投薬や治療を必要としない極めてシンプルで優れた運動療法。

(3)あらかじめ「ロコモ度テスト」を実施した上で、個々人の状態にあったロコトレを日々実践していくことで、要支援・要介護さらには寝たきりを予防し、その結果、日本の健康寿命を延伸させるとともに、ひいては医療と介護の社会的コストの増大を抑制することを目指したい。

SLOCの公益活動について

平成30年04月20日

超高齢社会を背景に、ロコモティブシンドローム(以下「ロコモ」)は、「メタボ」や「認知症」と並び、「健康寿命の短縮」の3大要因のひとつになっており、医療、介護の社会的コストも加速度的に増大している。今後健康寿命を延伸させるとともに医療・介護費用を抑制してゆくためには、ロコモ対策(予防、早期発見・早期治療)が大変重要になる。ロコモ予防事業による医療介護費削減効果は年間約5,000億円と試算されている。

SLOC(エスロック)「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」は、JCOA会員有志が起点となって立ち上げたロコモ対策事業に特化したNPO法人で、2013年1月に東京都の認可を得て正式に発足し、活動を開始している。

【SLOCの社会貢献活動】

(1)ロコモに関する普及広報事業
1)「全国市民公開講座(ロコモキャラバン)」開催
年2回、これまで7都市で開催されいずれも高い評価を得ている。
2)ホームページの管理・運営
一般市民から整形外科専門医まで幅広い層を対象にウェブサイト上でロコモの医学的知識と臨床経験に基づいた広報・普及・啓発活動を行っている。
3)行政への啓発・普及
全国の自治体・教育委員会を対象にロコモや子どもロコモに関するアンケ ート調査を行い、地域の実態把握および医学的情報を収集、その結果を公表した上で、引き続き本法人の活動報告、ロコモ関連情報についてウェブサイト、メールマガジンを通じ定期的に配信している。
4)ロコモ講演会等への講師派遣
随時行政や医師会等からの依頼に応じ、本法人から講師派遣を行っている。

(2)ロコモに関する教育研修事業(「ロコモコーディネーター」の養成)

各自治体と連携の上、現場でのロコモ予防活動に携わるボランティアなどの養成、教育や自治体との間に立って派遣などの調整役(コーディネート)を担うロコモコーディネーターの養成に取り組んでいる。これまで10回の資格取得研修会を開催し計1,459名の資格者が誕生している。

(3)「子どもロコモ」啓発事業
近年子どもたちの運動、食事など生活習慣の劣化が原因で引き起こされる「運動器機能不全」の病態について学校医・養護教諭・保護者と連携の上で調査、報告するとともにそのスクリーニング体系について検討し、平成28年度から始まった「学校保健における運動器検診」に対応している。

文責:二階堂 元重

SLOC公益事業3本柱

平成25年01月12日

SLOC(エスロック)「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」(Japan Stopthe Locomo Council)は、日本臨床整形外科学会(JCOA)会員有志が起点となって立ち上げたロコモティブシンドローム(ロコモ)啓発事業に特化したNPO法人(理事長 藤野圭司)で、2013年1月に東京都の認可を得て正式に発足し、活動を開始しています。2014年度のSLOC公益事業の3本柱は、①「ロコモコーディネーター」の養成 ②「全国市民公開講座」開催 ③大規模全国アンケート調査です。

①「ロコモコーディネーター」の養成について
われわれは、現場でのロコモ予防活動に携わるボランティアなどの養成、教育や自治体との間に立って派遣などの調整役(コーディネート)を担うロコモコーディネーターの養成に取り組んでいます。活動には専門的知識や技能が求められますので、受講資格は原則として施設に所属する医療系・介護系の有資格者などとしました。2014年6月に浜松市で開催された第1回資格取得研修会では186名の「ロコモコーディ ネーター」が誕生し、すでにこの資格を持った保健師や理学療法士(PT)が講師として地域の「普及員・指導員」に対し「ロコトレ実技指導」などの養成講座を開講しています。第2回研修会は同年12月宮崎市(宮崎大学医学部整形外科 帖佐悦男教授)で開催され、今後は各地で毎年一定数の有資格者を養成し,地域における介護予防事業のモデルケースとしたうえでの厚生労働省老健局への提案も視野に入れています。

②「全国市民公開講座」について
「ロコモと認知症」「ロコモと骨粗鬆症」をテーマとして毎回各分野に精通した医師を招いて講演を行い、その後会場内でロコモ予防体操、物忘れテストの実施のほか、VTRでの具体的事例の紹介も行っています。「ロコモキャラバン」と命名し、運営を株式会社NHKエデュケーショナルに委託して各開催地における臨床整形外科医会の協力を得ながら、その名のとおり全国を縦断して、平成27年度以降は年2回のペースで開催してゆく予定です。すでに第1回が2014年8月に大阪市、第2回が10月に札幌市で開催され、いずれも高い評価を得ています。

③「大規模アンケート調査」について
今後自治体との連携下に地域に密着したロコモ啓発活動を展開していくうえで、各自治体の「ロコモ」に関する意識、実態を調査すると同時にSLOC活動内容の紹介も併せて調査票を郵送しました。さらに全国教育委員会に対して「こどもとロコモ」に関するアンケート調査を行いました。

結果、全国1,964自治体のうち918施設(46.7%)、全国1,789教育委員会のうち802施設(44.8%)から回答が得られました。このように非常に高い回収率を達成できた理由としては、ロコモに対する自治体、教育委員会の関心の高さおよびインターネット利用による回答の簡便さがあったと思われます。
また「ロコモ認知度」国民アンケート調査として、外来を訪れた患者さんならびにご家族4,563名を対象に「ロコモ認知度と理解度」についての「直接聞き取り調査」を行いました。結果は「認知度」36.3%,「理解度」(意味を知っている。)14.9%でした。この数字は日本整形外科学会による2014年度のウェブ調査結果とほぼ一致していました。
「ロコモ」という言葉が広く浸透してもロコモ対象者が減らないようでは意味がなく、今後は「運動器症候群」としての内容を十分「理解」してもらえるよう、さらにきめの細かい啓発・予防活動を続けてゆきたいと考えています。

 

 更新日2016/12/15

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