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0.JOA学校保健委員会

学校での健康診断における運動器検診の開始にあたってのお願い

日本整形外科学会学校保健委員会委員長
古谷 正博

日整会広報室ニュース第104号
平成28年01月15日発行
(転載許可を得ています。)

平成28年度からの学校健康診断において運動器に関して、学校保健安全法施行規則の一部改正により『「四肢の状態」を必須項目として加えるとともに、四肢の状態を検査する際には、四肢の形態及び発育並びに運動器の機能の状態に注意することを規定する』ことが通知されたことはご存知の事と思います。しかしながら、現場での検査の方法等についての解説が記載された「児童生徒等の健康診断マニュアル」の改訂に手間取ったため、学校医、養護教諭等の現場に混乱を生じてしまったことは残念に思っております。本年8月末にマニュアルが発刊されて関係者に配布され、これまでに日本医師会、日本学校保健会で順次研修会が開催され、各郡市学校保健関係者への周知が進んでいるところです。

さて、このマニュアルを確認しますと今回の改訂で、整形外科関連では成長期において早期に発見、適切な治療が行われないと将来に禍根を残す疾患に絞り、チェック項目が作成されています。
例示されたチェック項目は

・背骨が曲がっている。

・腰を曲げたり、反らしたりすると痛みがある。

・上肢に痛みや動きの悪いところがある。

・膝に痛みや動きの悪いところがある。

・片脚立ちが5秒以上できない。

・しゃがみ込みができない。

とされており、具体的な疾患としては脊椎では脊柱側弯症、脊椎分離症、上肢では野球肘、野球肩、股関節・下肢ではPerthes病、大腿骨頭すべり症、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)、Osgood ‐Schlatter病が挙げられています。

また健康診断の流れを見てみると、準備として『家庭における観察の結果、学校に提出される保健調査票の整形外科の項目にチェックがある項目を整理する。日常の健康観察の情報を整理する。可能であるならば、養護教諭は、体育やクラブ活動の担当者と連携し、保健調査票においてチェックがある項目の観察を健康診断前に実施し情報を整理する。』とされており、さらに方法として、『養護教諭は保健調査票、学校での日常の健康観察等の整理された情報を、健康診断の際に学校医に提供する。』とされ、さらに『提供された保健調査等の情報を参考に、側弯症の検査を行う。四肢の状態等については、入室時の姿勢・歩行の状態に注意を払い、伝えられた保健調査でのチェックの有無等により、必要に応じて留意事項を参考に検査を行う。』と記載されています。従いまして、一部で心配されているような家庭でのチェックがそのまま学校医に伝えられるのではなく、身体が硬い、バランスが悪いいわゆる運動器不全の児童生徒に関して、学校内の再チェック、指導も可能と考えられます。

事後措置については、『家庭での保健調査票及び学校での健康観察から総合的に判断し、健康診断実施の上、学校医が必要と認めた児童生徒等については、その結果を保護者に連絡し、速やかに整形外科専門医への受診を勧める。専門医の指示内容を保護者から確認する。指示内容はまとめて記載しておき、今後の指導に役立たせる。』とされています。

さて、今回の運動器検診は内科健診の一部として学校医が行うもので、事後措置として専門医受診を勧められた児童生徒が整形外科医を受診します。その際には、「隠れた運動器疾患」を有する児童生徒のほか、治療の対象でない運動器機能不全であるものも数多く含まれているかと思います。治療の対象でない運動器不全の児童生徒に対しても運動習慣の奨励やストレッチの指導など運動器の専門家としての指導をお願いできればと考えております。

日整会会員の皆様には毎日のご多忙な外来診療の中で誠に恐縮ではありますが、諸般の事情をご賢察いただきご協力をいただきますようお願いいたします。

更新日2016/02/02

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