「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」をストップ NPO法人 全国ストップ・ザ・ロコモ協議会 SLOC(エスロック)

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9.長野県千曲医師会

平成28年度坂城町学校運動器検診       2016.06.15~06.30

坂城町運動器検診学校医 二階堂 元重

(要旨)

1.平成28年06月15日から06月30日まで、長野県埴科郡坂城町の小中学校(3小学校・1中学校)の小学5年生計132名、中学2年生142名に対し、学校運動器一次検診を行った。

2.検診は文科省監修「児童生徒等の健康診断マニュアル」に則り、事前保護者記入の「保健調査票」ならびに「運動器検診調査票」をもとに、手順は埼玉県医師会作成のガイドラインに沿って行った。

3.検診に費やした時間は1人平均約1分であった。

4.「運動機能不全」チェック5項目に一つでもあてはまる児童生徒は、小5で15%、中2で18%であった。

5.「片脚立ち」「肩挙上」不可該当者は小中ともに皆無であった。坂城町では4月新学期より全ての小中学校で、体育授業冒頭「運動プログラム」(片脚立ち・しゃがみ込み・体前屈・のびのび体操)を実施している。

6.専門医受診指示後、実際に整形外科受診した児童生徒は小中ともにほぼ半数であった。

7.いわゆる「ねこ背・あご出し・骨盤後傾」の姿勢不良を示す児童生徒は、小5で5人に1人、中2では4人に1人みられた。彼らの多くはその場での「のびのび体操」指導で一時的ではあるが姿勢が改善している。

 

1.体育活動

・中学2年 142名(男子76/女子66)

・小学5年 132名(3校合計 男子63/女子69)

女子:小・中ともにほぼ半数は体育活動を行っていない。

男子:小・中ともに4分の1はサッカー。中学はサッカー・テニスで約半数を占める。中学男子の95%は体育活動を行っている。

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2.運動器機能不全(子どもロコモ)例

(1)小学5年

・側弯症疑いを含む「姿勢不良」が約20%。「のびのび体操」指導を行った。

・「子どもロコモ」チェック項目中、「体前屈」9%「しゃがみ込み」6%、「片脚立ち」「肩挙上」は       全員可能であった。どれか一つでもできない者は全体の15%であった。

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(2)中学2年

・側弯症疑いを含む「姿勢不良」が約27%であった。

・「子どもロコモ」チェック項目中、「体前屈」8%「しゃがみ込み」14%、「片脚立ち」「肩挙上」は       全員可能であった。どれか一つでもできない者は全体の18%であった。

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3.体育活動と運動器機能不全

(1)しゃがみ込み・体前屈

小5:「しゃがみ込み」「体前屈」ともに「体育活動あり・なし」が丁度半数づつであった。

中2:「体前屈」は半数づつ、「しゃがみ込み」ではサッカー・テニス・体育活動なしが同数20%づつであった。サッカー・テニスは当中学では最も力を入れて取組む代表的な部活動である。

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(2)姿勢不良(側弯症疑い含む)

姿勢不良、すなわち「ねこ背・あご出し・骨盤後傾」の児童・生徒についてもほぼ同様の結果である。中2では「体育活動なし」とテニスで6割を占めていた。

(3)事前調査票に保護者が「異常あり」と記入した児童/生徒

小5では11% 14名、 中2では30% 42名であった。

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4.専門医受診

(1)小学5年

専門医受診指示は4名。全員が側弯症疑い。4名とも保護者事前チェックはなかった。うち2名が当院受診。1名がCobb11°、1名が5°以下、両名1年後再受診とした。

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(2)中学2年

専門医受診指示は16名。15名が側弯症疑い。1名が外骨腫による肘関節拘縮疑いであった。16名中7名に保護者事前チェックを認めた。半数8名が専門医受診。うち3名が側弯症の診断(全て他医)。1名が3か月後、1名が6か月後再受診、1名が経過観察という回答であった。残り5名は正常範囲。いわゆる姿勢不良による「機能的側弯症」と判断した。

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5.事前調査票「痛み/運動制限」にチェックがあった児童・生徒

小5:1名。腰痛。体育活動をしないObesity男子であった。

中2:24名。うち22名は体育活動を行っている。半数以上が腰痛。種目はサッカー・テニスで6割を占めていた。

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(考察)

1.基本動作チェック項目中一つでもできないものの割合は小5で15%、中2で18%と埼玉県のデータ40%を大きく下回る結果であった。理由として4月新学期と同時に体育授業前に運動プログラム(しゃがみ込み・片脚立ち・体前屈・のびのび体操)実施を励行しているためかと思われた。実際に「片脚立ち」「肩挙上」は小5・中2を通じ全員が可能であった。更に「片脚立ち」に関しては、デンバーⅡ発達判定法に則り、小学校高学年までには「静的バランス」が確立していることを裏付ける結果である。

2.「子どもロコモ」の背景は、運動のやり過ぎによるスポーツ障害と、食べ過ぎによる肥満など生活習慣の乱れから来る運動不足の二極化が問題になっているが、「しゃがみ込み」不可群ではこれを裏付ける結果となっていた。「痛み・運動制限」にチェックをつけた生徒も、中学の代表的部活動であるサッカー・テニスで全体の6割を占めていた。

3.一次検診の結果、側弯症の疑いで専門医受診を指示し、実際に受診した児童生徒が小中学校ともに約半数。受診を指示した子どもの事前調査票のチェックをみると、小5では4名中全てチェックなし、中2では15名中7名と、今後保護者への更なる啓発が必要かと思われた。

また小5では5人に1人、中2では4人に1人「ねこ背・あご出し・骨盤後傾」の姿勢不良群を認めたが、そのほとんどはその場ののびのび体操で改善した。

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4.さらに「側弯症」に関する事前調査に関しても、特に小5の「ねこ背」、中2のHigh shoulderで保護者と検者との間の見立てにおいて大きな差を認めた。Rib Humpについては双方2名のチェックがあった。

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5.運動器機能不全群への対応は、姿勢不良への「のびのび体操」を含め、「片脚立ち」「しゃがみ込み」「体前屈」動作の反復エクササイズ(運動プログラム)の介入が必要と考える。特に姿勢不良による機能性側弯には「のびのび体操」の継続が有効と言える。体操実施後、一時的ではあるが多くのProminent Scapulaが改善する印象を持っている。

 

 

 

長野県千曲医師会の取組み

医療法人二階堂医院
二階堂 元重

・2016/04/01

平成28年度千曲医師会整形外科学校医運動器検診(一次検診)手順.PDF

・2016/03/11

平成28年度千曲医師会運動器検診手順(案)

千曲医師会 二階堂 元重
平成28年03月09日午後07時
坂城町A中学校

(出席者)
坂城町
A中校長
B小校長
A町教育委員会教育文化課学校教育係
A中養護教諭
B小養護教諭
C小養護教諭
D小養護教諭

千曲医師会管轄小中学校における平成28年度運動器検診は、行政・学校・医師会それぞれの理解、準備が不十分なまま4月からのスタートを迎えます。千曲医師会では、煩雑を極めると容易に推測される初年度検診の流れを円滑に進めるために、文科省・日本整形外科学会の方針を軸に、可能な限り簡便な手順を策定しました。

(1)骨子

古谷正博日本整形外科学会学校保健委員会委員長
「学校での健康診断における運動器検診の開始にあたってのお願い」抜粋
(資料1/日整会広報室ニュース第104号)

1.今回の運動器検診は内科健診の一部として学校医が行うもので、事後措置として専門医受診を勧められた児童生徒が整形外科医を受診する。
➡︎小5・中2以外の学年への対応
*千曲医師会では小5・中2に特化し、整形外科学校医が一次検診を行う。

2.その際には、「隠れた運動器疾患」を有する児童生徒のほか、治療の対象でない運動器機能不全であるものも数多く含まれている可能性がある。治療の対象でない運動器不全の児童生徒に対しても運動習慣の奨励やストレッチの指導など運動器の専門家としての指導をお願いできればと考えている。身体が硬い、バランスが悪いいわゆる運動器不全の児童生徒に関して、学校内の再チェック、指導も可能と考えられる。
➡︎「子どもロコモ」への運動プログラムの介入

3.養護教諭は、体育やクラブ活動の担当者と連携し、保健調査票においてチェックがある項目の観察を健康診断前に実施し情報を整理する。
➡︎検診前チェック

4.チェック項目は以下6項目に限定する。
・背骨が曲がっている。
・腰を曲げたり、反らしたりすると痛みがある。
・上肢に痛みや動きの悪いところがある。
・膝に痛みや動きの悪いところがある。
・片脚立ちが5秒以上できない。
・しゃがみ込みができない。

ⅰ ) 保健調査票はこちら

ⅱ ) 運動器検診調査票はこちら

(2)タイムスケジュール

04月
新学期初日 「保健調査票」「運動器検診調査票」の配布>回収>養護教諭による確認、抽出

中旬     各学校校長講話(初回父兄参観日)の中で「運動器検診」「運動プログラム」実施の件をアナウンス
➡︎運動プログラムの介入

*運動プログラム
(目的)
・治療対象でない運動器機能不全(子どもロコモ)への対応
・①②不可該当者群の70%改善をめざす
(方法)
・全学年全員体育授業冒頭に体育教諭指導のもと実施(3~6ヶ月)
①片脚立ち(左右ともに30秒>慣れたら1分まで)
②しゃがみ込み

【内科学校医健康診断】

A中    04/11・04/13・04/18
B小    05/17・06/07・06/14
C小    05/26・06/06
D小    05/18・06/07・06/20

・「保健調査票」チェック6項目確認

1)背骨が曲がっている
2)腰を曲げたり、反らしたりすると痛みがある
3)腕・脚を動かすと痛みがある
4)腕・脚に動きの悪いところがある
5)片脚立ちが5秒以上できない
6)しゃがみ込みができない

a)1)~4)にチェックのある者で医療機関受診していない者は連絡票に記入、学校名で通知の上整形外科受診へ

ⅲ ) 連絡票(運動器検診結果のお知らせ)はこちら

b)チェックのない者・専門医受診している者・ならびに5)6)にチェックがある者はスルー

【平成28年度整形外科学校医運動器検診(小5・中2)】

A中    06/23・06/30
B小    06/29
C小    06/15
D小    06/22

・「保健調査票」「運動器検診調査票」チェック項目確認

a)1)~6)にチェックのある者
・下肢の検診 ①片脚立ち左右5秒づつ ②しゃがみ込み
・上肢の検診 ③肩挙上(屈曲180°)④肘屈伸(肩屈曲90° 掌を上に)
・脊柱の検診 ⑤体前屈・後屈 ⑥側弯症検診(後>前)

b)チェックのない者
⑥側弯症検診(後>前)のみ
必要に応じて連絡票(運動器検診結果のお知らせ)に記入、通知の上整形外科受診へ

(3)学校は受診結果を確認し、記録、保管する(事後措置)
できれば紙ベースではなく「電子データ」で

@注意点
1.保護者には運動器検診の意義を事前充分に説明し、「保健調査票」は保護者責任の上記載と規定された公文書であることを周知させ、協力を依頼する。チェック項目は家庭で一緒にやることで問題意識を共有し、できない場合は家庭内でも日々練習させる。

2.「運動プログラム」実施期間が3ヶ月に満たないことで、初年度運動器検診日までに「介入効果の判定」はできないが、当日片脚立ち・しゃがみ込み改善の程度の観察は可能である。

3.運動器検診に際し、男子は上半身裸・裸足・短パン着用。女子は水着(ワンピース・セパレートタイプいずれも可)
・裸足・短パン着用。

2015.03.07

「運動プログラム」について

①片脚立ち」②しゃがみ込み」成功の秘訣は
1.背すじを伸ばす
2.足指から足裏全体に体重をのせるの2点です。
練習すればできるようになります。
特に高学年には③体前屈も取り入れてください。
④のびのび体操(立位編)は以下の目的を全て達成させる極めて合理的なトレーニング法です。

・姿勢矯正(背すじを伸ばす・骨盤を立てる)
・つま先で床をつかみ全体重を支える(浮き指対策)
・バランス力をつける
・肩甲骨、上肢、手関節を柔らかくする
・胸郭、肋間を広げることで、呼吸器・循環器・消化器の
活動を促進する

SLOCホームページ参照
子ども処方箋

子どもの足の変形

(資料−1)
運動プログラム①~④」Youtube動画

(資料−2)
1.のびのび体操(立位編).mp4

2.タオルギャザー.mp4

3.外反扁平足対応足踏み体操.mp4

(資料−3)
・「運動器検診結果のお知らせ」WordFile

・「運動器検診結果のお知らせ」PDF

・2016/03/02
千曲市更埴庁舎において運動器検診に関する研修会が開催されました。

平成28年03月02日午後7時
運動器検診に関する研修会
千曲市更埴庁舎
講師:医療法人二階堂医院 二階堂 元重
参加者総数62名

今回「整形外科学校医制」が予算成立した坂城町も研修会に参加しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【坂城町】
1.人口 1万7,000人
2.児童生徒数 1,250人(小学生837人・中学生413人)
3.小学校3校・中学校1校
4.運動器検診整形外科学校医:二階堂 元重
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

運動器検診手順(案)PDF
運動器機能不全についてPPT101枚

・2016/02/01

01月27日千曲市教育委員会主催で「第1回運動器検診検討会」が開催されました。
千曲医師会では、従来の側弯症検診を含め、運動器検診を一塊として整形外科医に委託することが理事会決議され、これに対し市が新たに「運動器検診に特化した学校医」として予算組みした格好です。
検診実施期間が04月01日以降06月30日までと定められており、現在行政・学校側・医師会・そして我々整形外科医それぞれの思惑が交錯しながらも必死に落とし所を模索中ですが、前途多難な状況といえます。とりあえず次年度は従来の側弯症検診に準じた現行スタイルでスタートするのではと考えています。


千曲医師会は、運動器検診実施方法について県医師会より「内科の学校医が引き受けるのではなく、より専門性の高い整形外科の先生にお願いするのが望ましい。」との見解から、千曲市教育委員会との合議の結果、平成28年度より千曲市内13の小中学校各校に対し、従来の側弯症検診を含めた運動器検診を行う「整形外科医の学校医」を新たに配置する予算」が確保されることになった。
なお千曲医師会坂城地区に関しては(行政区分は埴科郡坂城町)今回行政決定はなされず、来年度は現行通り本来の学校医が運動器一次検診を行うことになった。

【千曲市】
1.人口 6万4,000人
2.児童生徒数 5,034人(小学生3,264人・中学生1,770人)
3.小学校9校・中学校4校
4.運動器検診参加予定整形外科医:6施設7名

5.千曲市教育委員会実施手順(案)

6.以下二階堂私案です。(二戸市・八戸市・栃木県・埼玉県取組みを参考にしています。)

1)検診該当学年

2)他学年(調査票全員分を確認の上、抽出群を一次検診)

*保健調査票(問診票)の家庭配布
————————————————————-
・背骨が曲がっている。

・腰を曲げたり、反らしたりすると痛みがある。

・腕、脚を動かすとに痛みがある。

・腕、脚に膝に動きの悪いところがある。

・片脚立ちが5秒以上できない。

・しゃがみ込みができない。
————————————————————-

>各家庭でチェック。(保護者)
>回収し「運動器検診該当者(チェックが一つ以上つく者)」を抽出。(養護教諭)
@全児童の約10%
>体育の授業開始時に全員で「運動プログラム(問診票に沿った体操中心)」実施。(体育教諭)
*「運動習慣の奨励・ストレッチの指導」により治療の対象でない運動器機能不全(子どもロコモ)に対処する。
>3ヶ月後学校で再度評価。(担任or保護者)
>再評価で改善がみられない群を抽出。(養護教諭)
@全児童の約2~3%

①運動器の痛みがあって整形外科受診していない群
②側弯症チェックのある群
②再評価で改善のみられない群(次年度以降母集団数の減少が期待できる。)

>以上の群を整形外科医による運動器一次検診に加える。

更新日2016/09/08

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