「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」をストップ NPO法人 全国ストップ・ザ・ロコモ協議会 SLOC(エスロック)

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2.二戸医師会

平成28年度二戸地区運動器検診マニュアル

SLOC委員 菅 栄一

今年度の主な改定点は下記です。
1)検診項目を日本学校保健会マニュアルにそって簡略化した。
2)保護者,学校が1枚のチェック表に記入し,学校医が判定をし易くした。
3)判定基準を明確にした表を加えた。
4)結果入力フォームを後に統計処理をし易くした。
  肥満,体力テストとの関連調査は継続する。

学校保存の保健調査票は,日本学校保健会マニュアルに準じ地区で統一、進学時にこれを申し送る。

平成28年度二戸地区運動器検診マニュアルPDFはこちら

児童生徒の運動器に起きている問題と学校運動器検診

SLOC委員 菅  栄一

<運動器.ロコモってなぁーに>
 体の機能を表す器官として消化器、循環器、呼吸器としいう表現があります。これらと同じ様に骨、関節、筋肉、神経など体を支えたり動かしたりする器官の総称を運動器と言います。車に例えるとエンジンやタイヤに相当する大切な体の仕組みのひとつです。
 運動器を英語ではロコモティブオルガンと言います。この運動器のどこかに障害が起り、歩行や日常生活に何らかの障害をきたしている状態をロコモティブシンドローム(略称.ロコモ・和名.運動器症候群)と呼ぶことを日本整形外科学会が提唱しました。

<児童生徒の運動器の3つの特徴>
 1)体を支える骨は、赤ちゃんの頃はほとんど軟骨です。成長につれ固い骨となっていきますが、大人の骨に成るのは、10代後半です。それまでは軟骨が多い状態が続きます。軟骨は傷つきやすく、いったん傷むと修復され難く、特に関節の軟骨が傷むと一生障害が続く可能性があります。
 2)成長期の骨は、筋肉や靭帯より早く伸び、その結果筋肉が突っ張り、体が硬くなる時期があり、筋肉が骨に付着する部位で障害が起きやすくなります。
 成長期が始まる時期は、性差、個人差があり、同じ年齢でも運動器の発育状態は、同じではありません。子供の体は小さな大人ではないのです。
 3)運動機能の発達には、「動作の習得」「持久力」「筋力」が必要ですが、それぞれが発達しやすい年齢があります。特に幼児から小学生は、いろんな動作を習得して、身のこなしを覚える時期で、これを怠るとバランス能力が低く体の固い怪我しやすい体になる可能性があります。(図1・運動器の10年・日本協会監修「大人も知らない体の話し」運動器の話しより引用)

<背を伸ばす3つの習慣>
成長するには、栄養バランスのいい食事をきちんととることが大切です。また体の成長を促す成長ホルモンは、運動と深い眠りで多く分泌されます。子供の時期から、きちんとした食習慣、運動習慣、規則正しい睡眠習慣を身につけることが大切です。

<現在の子ども達に何が起きているか>
 こうした子どもの食事や運動など生活の基本は本来、家庭や学校で築かれる筈です。しかし食事面では、核家族化が進み、両親が共働きとなり3食をしっかり食べるという習慣が薄まってきています。また運動面では、ゲームの普及と外遊び場が少なくなったことなどにより、子どもが外で遊ばなくなり、運動不足の子どもが増えています。睡眠も就寝時間が遅くなり不規則となっています。
 一方栄養過多・運動不足で太る子だけでなく、低栄養・痩せ過ぎも問題です。メタボに対する誤解もあり痩せることが良いことだとして、骨量を蓄えなければならない小学生高学年にまでダイエットが入りこむようになってきました。こうした状況下危惧されるのは、生活習慣が改善されないまま大人になり、内臓疾患であるメタボや運動器疾患であるロコモの予備軍が増えていくことです。
 驚くことに子どもたちの運動器の現状は、片脚でしっかり立つ、手を真っすぐ挙げる、しゃがみ込む、背骨を前屈するなどの基本動作のできていない子が急増しています。そして物を投げる動作ができない、自身の倒立はおろか倒立する子を支えられない、廊下の雑巾がけの際に手で支えられず前歯を折ってしまうなど、少し前の時代には考えられなかったことが起こってきています。

<学校運動器検診>
 こうした状況の改善.予防をすべく、来年度から学校健診で運動器検診が必須化されます。二戸地区では、全国に先駆け、今年度から全小中学校で運動器検診を開始しました。検診内容は、体がかたい、バランス能力低下などの運動器機能不全、運動し過ぎによる障害、側弯症の3項目です。まず事前問診票に従い家庭でチェックし、学校でもチェックします。その結果少しでも異常か疑われる生徒児童を学校検診でチェックして、精査が必要な時は2次検診として専門医の受診を勧めています。

<今年度の健診結果>
運動器検診学年: 小学校3年生、5年生 中学校2年生

小学校 3年生 343名 5年生 385名
       運動器機能不全 74名(10.2%)
       スポーツ障害  11名 (1.5%)
中学校 2年生 411名
       運動器機能不全 86名(20.9%)
       スポーツ障害  32名(7.7%)

運動器機能不全と肥満の関連
二戸地区は児童生徒の肥満率は、全国、岩手県の平均を大きく上回っています。肥満と運動器発育不全の関連を検討しました。

運動器発育不全の有無から見た肥満児童生徒出現率(%)

小3.小5男女中2男子で割合が高く、体力テストで劣った生徒も同様の傾向でした。

肥満の有無から見た運動器機能不全の児童生徒出現率(%)

小3.小5男女、中2男子で高い割合でした。

 肥満と運動器機能不全は、どちらも過食・偏食などの食習慣と運動不足の運動習慣が相まって発生することが考えられます。今回の検診結果から、メタボでかつロコモの可能性がある児童生徒が相当数いる事が分かりました。今後これらに早期に気づき、同時に改善.予防する対策が必要です。
 一年1回の検診では、成長過程のからだの異変に対処しきれません。いつも児童生徒のそばにいる家族、学校現場で通年チェックすることで「気づく力・見守る目」を養い、常に目を配ることが大切だと考えます。

御辺地中学校校医 菅整形外科皮膚科クリニック 菅 栄一

図1

平成27年度二戸地区運動器検診マニュアルはこちら

更新日2016/04/01

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