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子どもロコモと生活習慣ー運動器検診のめざすもの/抜粋

林 承弘

『臨床栄養』2016年4月号
Vol.128 No.4 P460-464
医歯薬出版株式会社 平成28年4月1日発行

【序文】

近年、スマホ・ゲームの普及や外遊びの減少による運動不足等により、姿勢が悪くなり、運動器機能が低下して、しゃがめない、腕が真っ直ぐ挙がらない、体前屈できない、すぐ骨折するなど、子どもの身体に異変が生じています。このように体がかたい・バランスが悪いなど、運動器機能が低下した状態を「運動器機能不全」または「子どもロコモ」と呼んでいます。
「子どもロコモ」の背景には、体をほとんど動かさなくても日常生活が送れてしまう、超便利社会があります。また食育において、何でも手軽に食べられる一方、好きなものしか食べない、偏った食生活に陥り易いという現状も無視できません。また朝食の不摂取や1人だけの孤食等も問題になっています。
「子どもロコモ」の原因は、まさにこのような生活習慣そのものにある場合が多く、現在問題がなくても、骨折等のケガを惹き起こすことも少なくありません。
したがってH28年度から導入される学校運動器検診では、子どもの生活習慣に直接かかわる家庭において、まずは保護者に運動器の事前チェックをしっかり行ってもらうことが大前提になります。
運動器検診のめざすものは、学校や医療機関によって運動器の病気を見つけるだけでなく、家庭および社会が一体となって「子どもロコモ」に対処し、生活習慣を見直すことにあるといえます。

【子どもの体の異変について】

埼玉県で学校における運動器検診モデル事業を始めて以来、学校現場から、雑巾がけで歯を折ってしまう、転ぶときに手が出ない、組体操の下段で支えられない、朝礼で立っていられない等々、子どもの体の異変に関する、様々な事例が寄せられております。実際、学校で運動器検診を実施してみると、体のかたさやバランスの悪さなど、子どもの体の異変を裏付けるデータが得られました。幼稚園~中学まで学年全体(平成22~25年 計1343名)について、以下の基本動作4項目について、熟練した検診医によるチェックが行われた結果、子どもの運動器機能が低下していることがわかりました。

チェックする基本動作4項目は以下のとおりです。

① 片脚立ちがふらつかず5秒以上できるか
② しゃがみ込みできるか(途中でとまらず、踵があがらず、後ろへ転倒せず)
③ 両腕が垂直拳上(耳の後ろまで)できるか
④ 体前屈で、膝を伸ばしたまま指が楽に床につくか

この4項目で問題があるものは、

①片脚立ち14.7%
②しゃがみ込み15.3%
③上肢垂直拳上7.1%
④体前屈23.3%

であり、これら4項目のうち一つでも問題ある児童生徒は、実に41.6%でした(図1)。
このように運動器機能が低下し、骨折等のケガを起こし易い「運動器機能不全」の状態に対して、警鐘を鳴らすため、「子どもロコモ」と名付けました。

【子どもの骨折率の増加について】

独立行政法人日本スポーツ振興センター統計によると、子ども全体の骨折率は、40年間で2.5倍に増加しました。
中・高校の骨折率は、2000年頃からさらに増え続け、2011年には、1970年の3倍以上になりました。一方、小学校は横ばい、保育園・幼稚園は減少傾向にあります(図2)。
これは外遊び場が減少し、携帯用ゲーム器が低年齢層にも普及してきた時期に重なります。こうした背景から子どもたちは、小さなケガを経験する機会もなくなり、十分な危険回避能力が身につかないまま成長してしまいます。その結果、中学になっていきなり専門的なスポーツ活動を始めるため、骨折などの大けがにつながってしまうものと推測されます。

【学校運動器検診のめざすもの】

平成28年度から、学校運動器検診が始まります。そのめざすものは、運動器疾患の早期発見・対処に加えて、「子どもロコモ」の状態をチェックし、これを改善することで、ケガの予防さらには将来のロコモ予防に備えることにあります。
したがって、家庭および学校における校医、養護教諭、体育教諭、栄養士さらには整形外科医が相互に連携をとり、よい生活習慣の根幹をなす「よい姿勢で、よく食べ、よく運動しよう!」といった環境作りをしっかり行っていくことが重要です。

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*「子どもロコモ」への対処は、当HPの【健康な体作りのための子ども処方箋】をご参照ください。

臨床栄養・図表抜粋PPTはこちら

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2.注意!子どものロコモ

毎日新聞「月刊ニュースがわかる」10月号より

*画像をクリックしてください。PDFでご覧いただけます。

http://www.mainichi.co.jp/publish/magazine.html#wakaru

1.姿勢と子どもロコモ ー 子どもの体に異変あり ー

(ことしの子ども最前線 特集論文2015年08月06日発刊)
出典:『子ども白書 2015』p61-65
日本子どもを守る会編 本の泉社発行

PDFはこちら

更新日2016/04/13

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