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片脚立ちテスト調査に関する一考察

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片脚立ちテスト調査に関する一考察
         SLOC理事 久保谷 康夫 (平成27年04月24日投稿)

要旨:学校検診における、「片脚立ちテスト」は、トレンデレンブルグ徴候の有無を検査するテストであるが、近年、「子供ロコモ」の徴候としてのバランス感覚・能力あるいは筋力の指標の一つとしても用いられている。

 学校保健安全法施行規則などの改正により来年度から、学校検診において、側弯証検診に加えて運動器検診が義務化される。

 今回、学校検診に合わせて、児童、学生に片脚立ちテストを行い、調査結果とその考察を試みたので報告する。なお、トレンデレンブルグ徴候の検査としては特記すべき事項はなかった。

 小学校(全校児童;29人)と中学1年生(19人)の定期的学校検診時に、はじめに特段の説明をせずに、片脚立ちテストを施行した(最長60秒とした)。 次に、片脚立ちの要領などを説明してから、片脚立ち練習を数分間行った後に、初回テスト時と同一条件で測定した。また、小学生については、初回テスト後、家庭で片脚立ちの練習をし、1週間を経て再度測定した。なお、テストの測定時間は左右の短い時間を採用し、1週間後のテストでは体調不良の児童2名を除外した。

 小学生の初回の片脚立ちテストの平均時間は、39.4秒であり、学年による顕著な有意差はなかった。しかし、低学年(特に就学時の1年生)では、静的バランス力が発達途上にあるためかあるいは筋力が備わっていないためか、年長児童に比較して片脚立ちテストの時間は短かった。片脚立ちテストの意義や要領の説明などを経た後の、小学生全員の平均時間は46.7秒であり、初回初測定時間に比較して平均で7.3秒延長していた。小学生に自宅で、遊びの一環として、片脚立ちを1週間練習したのちに、同一条件で測定したところ、初回練習後の測定時間との間に有意差は見られなかった。

 中学1年生19人の初回テストでは、12人が目標設定時間をクリアーした。中学1年生では、初回テストで60秒をクリアーできなかった7人のうち、練習後もクリアーできなかったのは、わずかに1人であり、初回3秒の生徒もクリアーできた。

 片脚立ちテストをどこで実施するかについては議論のあるところだが、家庭調査票の一つとして、家庭で保護者と同時に施行してはいかがだろうか。また、片脚立ちテストは、測定する側の知識はもとより、子供たちが片脚立ちテストの要領を得ないままに測定すると正確な時間を測定できないことが危惧された。

 片脚立ちテストを、家庭で保護者が子供に実演して見せて、その後に測定すれば、子供は片脚立ちテストの要領も理解できるし、正確な時間が測定されると思われる。

 なお、「子供ロコモ」における、片脚立ちテストは左右とも最初からふらつかず、しっかり立てるかを見ており、あくまで静的バランスのチェックで、筋力評価ではない。バランスが良ければ、筋力の十分ついてない幼稚園児でも『1時間以上』もできることがあるとされ、片脚立ちは、「静的バランスがしっかりすれば、とっさのケガにも対応できる」といわれている。したがって、練習・訓練では、時間を伸ばすということより、先ず、「20秒間でも、最初からふらつかずにしっかり、立てるようにしましょう」とし、その結果、「1分近くしっかり立てれば上等」ということにしてはいかがだろうか。

ロコモの認知度は、青壮年層で低いと言われているが、家庭などで、片脚立ちテストを保護者が子供と一緒に行うことで、全年齢層の国民へのロコモの啓発ともなり得る可能性があり、国策でもあるロコモの認知度向上のためにも、学校検診の運動器検診の片脚立ちテストを良い機会ととらえるべきと考えた。

本試みは、児童、生徒数も少なく、また「片脚立ちのスタイル」そのものが良く理解できないままに調査したことから、統計的結論には不向きと考えたが、本調査の結果から、片脚立ちテストの正確な時間を測定するには、片脚立ちの仕方や意義をある程度理解させた上で、児童、生徒にテスト・検診を行うことの必要性を感じていただければ望外の喜びである。

謝意;本テストにご協力いただいた、岩手県雫石町立南畑小学校、
同町立雫石中学校に感謝する。

更新日2015/11/04

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