「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」をストップ NPO法人 全国ストップ・ザ・ロコモ協議会 SLOC(エスロック)

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3.岩手西北医師会

岩手西北医師会

「運動器検査項目に関する一考察」

平成27年12月16日
久保谷 康夫

要旨: 運動器検査項目の片脚立ちテストやしゃがみ込み動作は、練習することで大半は可能となるが、特にしゃがみ込み動作は肥満傾向の児童・生徒には困難な場合が多く、肥満対策を構ずるとともに、子どものロコモ対策としてもロコモ啓発等の関係者は運動器検診に積極的に関与すべきと考えられた。

目的: 運動器検診の動作のうち片脚立ち動作としゃがみ込み動作の異常が何に起因するのか、また当該動作の練習効果についての文献的報告が渉猟し得なかったので当該動作の練習効果について調査したので報告する。

対象: 小学校は1年生から6年生までの全児童数が109人と中学1年生131人である。 なお、体調不良等関係から参加人数に整合性を欠く部分がある。

方法: 当該児童・生徒の片脚立ち動作としゃがみ込み動作について、当該動作の練習期間は1週間とした。

結果:
1 片脚立ちテストについて
小学生109人中練習前にできなかったのは1人で、練習後にできなかったのは0人であり、中学1年生120人中練習前にできなかったのは11人で、練習後にはできなかったのは0人だった。

2 しゃがみ込み動作について
・小学生109人中練習前にできなかったのは6人で、練習後も2人ができなかった。できなかった児童はすべて肥満傾向にあった。
・中学1年生118人中練習前にできなかったのは14人で、練習後の123人中でできなかったのは9人だった。 9人中1人は膝関節障害の既往があり、残りの大半は肥満や身体の硬さに起因していた。しかし、完全にはしゃがみ込みができない場合にあっても、しゃがみ込みの練習を重ねることで、動作の改善傾向がみられた。

考察: 片脚立ちテストはバランス能力の異常起因するといわれ、しゃがみ込み動作の異常の理由や起因すべき疾患については、身体の硬さや特に足関節周辺疾患を指摘する報告が見られるが、当該動作を練習をすることによりすなわち運動することにより、改善傾向が見られたが、その原因や対策について考察した報告はなかった。

結語: 肥満解消のためにも運動器検診を通じた運動や体操の必要性が示唆された。また、運動器検診はロコモの認知度向上の一助となることが考えられ、さらに、小児期からのロコモ予防が大切であり、運動器検診に関しては、ロコモ啓発関係者は積極的にかかわるべきと考えられた。

謝辞 本調査は、雫石町立雫石中学校、同安庭小学校、南畑小学校のご協力をいただきました。ここに感謝致します。

<運動器検診予備調査結果>

実 施 日:1回目 12 月 1 日(火) 12 月 2 日(水)
再検査 12 月 8 日(火) 12 月 9 日(水)

注)再検査の表は、1回目でできなかった人の再検査結果を合計した表である。

※女子でしゃがみ込みができない生徒のうち1名は、膝を痛めているとの自己申告があった。

 

・2015/11/27

【子どものストレッチ】

久保谷 康夫

一般に、身体が硬いのは下肢に問題がある場合が大半なのかもしれませんが、まずは背伸び体操から始め、脊椎の姿勢の改善とストレッチから下肢に移行。下肢は、もっぱら、ハムストリングのストレッチです。

1. 「背伸び体操」
五郎丸の指を組むポーズから、 バンザイで背伸びして5秒キープする。次に、足関節をつま先立ち状態にして同じ動作をする。ロコモでの背伸び体操の類似形です。

2.「肩すぼめ体操」
肩関節周囲のストレッチとして、肩をすぼめる動作を5秒キープする。すぼめて、リラックスさせる。

3.「良い姿勢体操」
肘を90度屈曲、肩を外転90度の位置から上肢を肩外転90度をキープしたままで、バンザイまで持って行く。その際に、上肢が前面に出ない様にする。良い姿勢のためストレッチとして、テレビでやっています。背中を壁につけてやるようです。この亜型もある様ですがとりあえず。

3.「威張りっ子体操」
手指を頚の後ろで組んで、先ずは両上肢を耳に付けた位置にして、次に胸筋を最大限ゆっくりと広げる。肩と肩甲骨と胸筋のストレッチ。頚椎の強化にもなる。

4.「白鳥の体操」
下肢のストレッチ。机を支えにします。しかし机には軽く触る程度。机などの代わりに、誰かと互いに手を組んでもよいかもしれません。片方の下肢は伸展位にして、片方の下肢を後方に伸ばせるだけの所に足先を保持させ、片方の伸展位の膝関節をゆっくりと屈曲させる。最大限30度くらい。膝を屈曲させると下肢筋が痛くなる。また、片方の下肢は伸展位のまま、片方の下肢を上に挙げる。下肢のストレッチ。

5.「ハムストレッチ」
ジャックナイフストレッチの亜型。ジャックナイフはしゃがみ込みで下腿末端を裏面から指で掴む。しかし、そもそも、しゃがみ込みができない子供がいる。私案は、椅子に座ったままで、下腿末端の後面を指で掴む。そこから、椅子からお尻を、できるところまで、浮かせる。ジャックナイフは徳島大学方式で、腰痛治療で、ハムストリングスの拘縮の改善策。これで、脊椎前屈で床に手がつく様になる、とか。

以上のストレッチ体操なら、学校でも自宅でもできます。

 

・2015/11/26

1.運動器検診と大学・勤務医の関係

SLOC理事 久保谷 康夫

学校検診に運動器検診が追加されたが、学校医には開業医が関与している関係から、どうしても大学や勤務医は疎遠になり易いが、三つの点で、運動器検診に関しても大学や勤務医の関心と関与が望まれる。

一つ目は、運動器検診においては、残念ながら、ロコモ予備群が少なからず発見される。
JOAはロコモの認知度向上を学会の大命題にして活動し、目標値の認知度80%は視野に入りつつあるが、認知度と言っても理解度は薄いのが現状であるから、運動器検診を良い機会と捉え、老若男女を問わず、ロコモをアピールすべきと考える。

二つ目は、「運動器」という法令言語である。介護保険法等の改正により、かなり前から、「運動器リハビリ」等の名称が、療養担当規則等に表記はなされてきたが、「学校保健安全法施行規則の一部改正等」という文科省の省令ではあるが、法令用語として、学校検診に「運動器」という言語が単独で認知されたのである。すなわち、JOAは、法令用語である「整形外科学・科」という言語以外にも、運動器という言語を使用してきているが、長年の夢が叶ったのである。ちなみに、JOAは5年前に公益法人に移したが、その際に、当時は法令用語として、単体では認めていなかった「運動器」という言語を、はじめて、定款の「目的」の条文に加えた。これは、当時の理事会執行部からの強い要望で入れたのだが、自慢文表小生のオリジナルである。

三つ目は、運動器検診で異常が指摘される確率に関しては諸説あるが、最低の1割としても、対象者が1,500万人以上に及ぶのだから、150万人が整形外科を受診する可能性も否定できない。これらの対象者をJCOA会員医療機関だけが対応する事になれば、インフルエンザの蔓延の時の対応よりもっとひどい状態が危惧される。それを回避するには、大学や勤務医の理解と協力が不可欠である。互いの助け合いと連携が必須である。

誰かが大きな声で訴えないと上手くいかないのも変な話ではある。そんなのを、運動器機能不全というのだろうか。運動不足を省みず、大層なことを申したことをご容赦いただきたい。

2.片脚立ちテストとしゃがみ込み動作

運動器検診に、片脚立ちテストとしゃがみ込み動作があります。

この動作で異常が発見される確率は、諸兄の報告によれば相当な確率です。
これらの異常児童等が整形外科を受診すると結構難儀です。

では、片脚立ちテストとしゃがみ込み動作は、そんなに異常があるのか?
片脚立ちテストに関しては、SLOCに報告済みですが、うまくできないのは、やり方がよくわからない、教える方も教わる方も。

そこで、
1.特別な指導や説明をせずに、片脚立ちテストとしゃがみ込み動作をさせる。
2. 指導説明、練習をして、1週くらいたって、再度検査する。
3. 片脚立ちテストは机や壁を支えにして練習する。
4.しゃがみ込みは、足先を大きく開くとしゃがみ込みし易くなるので、大股、足先広げるなどのポーズで練習して、徐々に足先を平行にして、再度検査。

当方の小学生と中学一年生100数十名に依頼済みです。過疎化の町で、子供が多くありません。上記の要領で、トライアルにご協力を賜りたく、お願いする次第です。

運動器検診マニュアルビデオ

一般社団法人岩手西北医師会制作
監修 久保谷 康夫先生

運動器検診マニュアルビデオmp4ファイル(120MB)はこちら
(パスワード iwateseihoku)

ダウンロードの上ご自由にお使いください。

運動器検診マニュアル対応体操


片脚立ちテスト調査に関する一考察

SLOC理事 久保谷 康夫 (平成27年04月24日投稿)

要旨:学校検診における、「片脚立ちテスト」は、トレンデレンブルグ徴候の有無を検査するテストであるが、近年、「子供ロコモ」の徴候としてのバランス感覚・能力あるいは筋力の指標の一つとしても用いられている。

学校保健安全法施行規則などの改正により来年度から、学校検診において、側弯証検診に加えて運動器検診が義務化される。

今回、学校検診に合わせて、児童、学生に片脚立ちテストを行い、調査結果とその考察を試みたので報告する。なお、トレンデレンブルグ徴候の検査としては特記すべき事項はなかった。

小学校(全校児童;29人)と中学1年生(19人)の定期的学校検診時に、はじめに特段の説明をせずに、片脚立ちテストを施行した(最長60秒とした)。 次に、片脚立ちの要領などを説明してから、片脚立ち練習を数分間行った後に、初回テスト時と同一条件で測定した。また、小学生については、初回テスト後、家庭で片脚立ちの練習をし、1週間を経て再度測定した。なお、テストの測定時間は左右の短い時間を採用し、1週間後のテストでは体調不良の児童2名を除外した。

小学生の初回の片脚立ちテストの平均時間は、39.4秒であり、学年による顕著な有意差はなかった。しかし、低学年(特に就学時の1年生)では、静的バランス力が発達途上にあるためかあるいは筋力が備わっていないためか、年長児童に比較して片脚立ちテストの時間は短かった。片脚立ちテストの意義や要領の説明などを経た後の、小学生全員の平均時間は46.7秒であり、初回初測定時間に比較して平均で7.3秒延長していた。小学生に自宅で、遊びの一環として、片脚立ちを1週間練習したのちに、同一条件で測定したところ、初回練習後の測定時間との間に有意差は見られなかった。

中学1年生19人の初回テストでは、12人が目標設定時間をクリアーした。中学1年生では、初回テストで60秒をクリアーできなかった7人のうち、練習後もクリアーできなかったのは、わずかに1人であり、初回3秒の生徒もクリアーできた。

片脚立ちテストをどこで実施するかについては議論のあるところだが、家庭調査票の一つとして、家庭で保護者と同時に施行してはいかがだろうか。また、片脚立ちテストは、測定する側の知識はもとより、子供たちが片脚立ちテストの要領を得ないままに測定すると正確な時間を測定できないことが危惧された。

片脚立ちテストを、家庭で保護者が子供に実演して見せて、その後に測定すれば、子供は片脚立ちテストの要領も理解できるし、正確な時間が測定されると思われる。

なお、「子供ロコモ」における、片脚立ちテストは左右とも最初からふらつかず、しっかり立てるかを見ており、あくまで静的バランスのチェックで、筋力評価ではない。バランスが良ければ、筋力の十分ついてない幼稚園児でも『1時間以上』もできることがあるとされ、片脚立ちは、「静的バランスがしっかりすれば、とっさのケガにも対応できる」といわれている。したがって、練習・訓練では、時間を伸ばすということより、先ず、「20秒間でも、最初からふらつかずにしっかり、立てるようにしましょう」とし、その結果、「1分近くしっかり立てれば上等」ということにしてはいかがだろうか。

ロコモの認知度は、青壮年層で低いと言われているが、家庭などで、片脚立ちテストを保護者が子供と一緒に行うことで、全年齢層の国民へのロコモの啓発ともなり得る可能性があり、国策でもあるロコモの認知度向上のためにも、学校検診の運動器検診の片脚立ちテストを良い機会ととらえるべきと考えた。

本試みは、児童、生徒数も少なく、また「片脚立ちのスタイル」そのものが良く理解できないままに調査したことから、統計的結論には不向きと考えたが、本調査の結果から、片脚立ちテストの正確な時間を測定するには、片脚立ちの仕方や意義をある程度理解させた上で、児童、生徒にテスト・検診を行うことの必要性を感じていただければ望外の喜びである。

謝意;本テストにご協力いただいた、岩手県雫石町立南畑小学校、
同町立雫石中学校に感謝する。

更新日2016/05/27

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